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マンガ 三国志Ⅰ 劉備と諸葛孔明

  • 著者:吉川英治(原作)/石森プロ(画)/竹川弘太郎(シナリオ)
  • 出版社:飛鳥新社
  • 出版日:2020-12
  • ISBN:9784864107983

書評

吉川英治『三国志』を骨格に、劉備の旗揚げ〜諸葛孔明“三顧の礼”までを一気読み。『誰が誰の味方?』がすぐ解ける人物相関と戦の流れがマンガで整理され、群雄割拠の全体像が腹に落ちる。小説や史書の前の入門にも、読み返しの復習にも最適。まずこの一冊。

三国志は登場人物が多く、誰が誰の味方で何が起きたかを追うだけで疲れる。本書『マンガ 三国志Ⅰ 劉備と諸葛孔明』は吉川英治版を土台に、石森プロの画とテンポの良い構成で、乱世の入口から劉備の旗揚げ、仲間が集まり、敗走しながらも“志”を手放さない流れ、そして諸葛孔明との出会いまでを一本のドラマとして見せる。会話で人物の性格が立ち、戦の目的と結果がコマ運びで自然に入るので、勢力図の地図感覚も掴みやすい。結果として『誰が誰で、何を求めて動くのか』が整理され、小説や史書に入る前の土台ができる。
本巻の読みどころは、強さよりも「人がついてくる理由」を描く点。正義や仁義はきれいごとで終わらず、乱世で信頼を積み上げる“資本”として機能する。逆に、合理性や勝ち筋ばかり追うと何が失われるのかも匂わせ、現代の組織やリーダーシップの学びとしても読める。もちろん原作小説の行間や政治思想の重みは文字に譲るが、「まず全体の筋を理解する」目的にはこれ以上ない。読み終えたら、気になった人物や戦いを原典で追うと、理解が二段階で深まる。