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天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す上

  • 著者:エドワード・O. ソープ
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 出版日:2019-04
  • ISBN:9784478101483

書評

カジノでカードカウンティングを編み出し、のちにウォール街でクオンツ投資を切り拓いたソープ自伝(上)。確率で考える、賭け金を管理する、検証して優位性だけを積む――この型が投資にも仕事にも効く。勝つより先に“退場しない”思考と習慣が学べる一冊。

『天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す(上)』は、ブラックジャック必勝法で名を上げ、のちに投資の世界でも勝ち続けたエドワード・O・ソープの回想録。勝負の舞台は違っても、芯にあるのは「確率で考え、優位性がある場面だけを選ぶ」という一点だ。偶然に振り回されず、偶然を味方にする発想が貫かれる。

本巻では、数学者としての出発点から、カジノでカードカウンティングを実戦投入し、勝ちすぎて追われる側になるまでのプロセスが臨場感たっぷりに描かれる。面白いのは、天才の武勇伝より、検証→仮説→実験→修正の“地味な反復”が勝利を生むと繰り返すところ。資金管理やリスクの扱いが、投資の教科書としてもそのまま通用する。

読み終えたら、手法探しより先に「自分の優位性は何か」「最悪いくら失うか」「撤退条件は何か」を一枚に書き出したくなる。下巻で語られるウォール街の話を待ちながら、まずは“退場しない”設計をここで身につけたい。期待値思考を体に入れたい人に刺さる上巻だ。