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無罪請負人――刑事弁護とは何か?

  • 著者:弘中 惇一郎
  • 出版社:KADOKAWA(角川oneテーマ21/角川新書)
  • 出版日:
  • ISBN:9784041107645

書評

有罪率99.9%の刑事裁判で、弁護士は何を守り、どう戦うのか。郵便不正、薬害エイズ、ロス疑惑などの現場から、特捜の論理・メディアの圧力・人質司法の怖さを描く。「疑う力」と手続の重みが腑に落ちる。

『無罪請負人――刑事弁護とは何か?』は、刑事事件を「犯人探しの物語」ではなく、国家権力と個人が向き合う“手続の闘い”として描き直す一冊です。著名事件を担当してきた著者が、捜査・起訴・公判の各局面で何が起き、どこで人が追い込まれていくのかを具体的に語ります。読みどころは、無罪を勝ち取る“技”よりも、疑いが固まっていく心理と構造が見える点。特捜のストーリー、世論の空気、メディア報道が重なると、事実関係より「結論ありき」が強くなる。その流れの中で弁護人がやるべきことは、感情に乗らず、証拠と手続を一つずつ点検し、矛盾を言葉にして可視化することだと伝わってきます。読後は、ニュースを見る目が変わり、「正しさ」より先に“検証可能性”を求めたくなるはず。法曹志望だけでなく、組織の空気に飲まれがちな人、投資や仕事の判断で「みんなが言うから」を疑える軸を持ちたい人にも効く現代の教養書です。