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超バカの壁

  • 著者:養老孟司
  • 出版社:新潮社
  • 出版日:2006
  • ISBN:9784106101496

書評

「バカの壁」を越えて、社会の息苦しさの正体を“ものの見方のクセ”として解剖する一冊。自分の正しさに閉じるほど対話はすれ違い、情報は壁になる。相手を変える前に、自分の前提を点検したくなる。議論で疲れる人の頭のストレッチ本。

『超バカの壁』は、相手の無知や頑固さを嘆く前に、「そもそも人は世界をどう切り取っているのか」を問い直す思考エッセイです。養老孟司の語る“壁”は、知識不足というより、見たいものだけを見て、都合の悪いものを視界から落とす脳の働きに近い。だから議論が噛み合わない時、論点の違い以前に「前提の地図」が違っている。ここを自覚できると、相手を説得しようと肩に力が入り過ぎる状態から少し降りられます。
読みどころは、分かりやすい正解を配るのではなく、私たちの思考がどこで固まり、どこで社会の空気に同調してしまうのかを、身近な例で“気づかせる”ところ。読後は、ニュースやSNS、職場の会話でイラっとした場面ほど、「自分は何を当然だと思っていた?」と問い返したくなるはず。世界を変えるより、まず見方の可動域を広げたい人に効きます。