外国人が見た日本――「誤解」と「再発見」の観光150年史

- 著者:内田宗治
- 出版社:中央公論新社
- 出版日:2018/10/01
- ISBN:9784121025111
書評
明治の開国から令和まで、訪日観光の歴史を「外国人が見たい日本」と「日本人が見せたい日本」のズレで読み解く。日光・箱根などの人気地、ガイドブック、誘致政策の舞台裏がつながり、今のインバウンド発信のヒントになる。観光は国のセルフイメージの編集作業だと気づかされる。
【どんな本?】明治初期の旅行案内書や紀行文から戦前・戦後・現代まで、外国人旅行者の「見どころランキング」と、日本側の誘致・宣伝がどう変わったかを追う観光史。観光は趣味の話ではなく、外貨獲得や国威発揚、近代化アピールと結びついてきたことがわかる。国際情勢の波が訪日客数や語られ方をどう揺らしたかも丁寧。
【刺さるポイント】面白いのは、外国人が称賛した「古き良き日本」と、日本人が誇示したかった近代国家像がしばしば食い違う点。日光・箱根の発展、ガイドブック制作、ホテル整備、そして「外国人の金を当てにするのは乞食同然」などの賛否両論が、今の“おもてなし”議論にも地続きに見えてくる。
【活かし方】インバウンド向け発信をする人は、相手が価値を感じる「物語の焦点」をまず仮説化し、こちらの自慢を後から重ねる順序が効く。SNS時代の『映え』も、過去の案内書の延長線上として整理できる。地域や企業のブランディングにも、何を残し、何を演出するかという編集の視点を与えてくれる一冊。
