外国人が見た日本――「誤解」と「再発見」の観光150年史

- 著者:内田宗治
- 出版社:中央公論新社
- 出版日:2018
- ISBN:9784121025111
書評
明治から現代まで、外国人は日本の何を「見たい」と感じ、日本人は何を「見せたい」としてきたのかを観光の歴史で追う。ガイドブック、ホテル、政策、名所ランキングの変化が面白い。インバウンドの熱狂を一歩引いて見直せる良書。観光地づくりのヒントも多い。
『外国人が見た日本』は、幕末〜現代の150年を「観光」というレンズで読み替える近代史。外国人の紀行文やガイドブックが称賛したのは、しばしば“古き良き日本”であり、一方で日本側は工場や官庁など近代性を誇示しようとした――そのズレが、名所のランキング変遷、ガイドブック作成、ホテル整備、観光客誘致をめぐる賛否の論争として具体的に描かれる。日光・箱根の発展、第一次大戦前後の増減、昭和戦前の観光立国、戦後の急成長、そして現在のインバウンドまでを追うと、「魅力」は自然物ではなく、誰がどう“発見し”“編集し”“提示したか”で形が変わると分かる。読み進めるほど、観光は経済政策であると同時に文化の自己紹介でもある、という視点が手に入る。SNS映えや補助金の話に流されがちな今こそ、地域が何を残し、何を変えるのかを考える土台になる。読み終えたら、自分の街の「見られ方」と「見せ方」のズレを一度書き出してみたくなる。
