農で起業する!

- 著者:杉山経昌
- 出版社:築地書館
- 出版日:2005-02
- ISBN:9784806713012
書評
脱サラして農業で食べていく――を夢で終わらせず、作目選び・作業手順・収支を“見える化”して再現可能にする本。小規模・高効率で余裕を作り、夫婦2人で年3000時間、週休4日を目指す発想が具体的。就農前の現実チェックにも役立つ。数字で考えたい人向き。
本書の面白さは、農業を「気合と経験の世界」から、設計できる小さなビジネスへ引き戻すところにある。著者は外資系サラリーマンから専業農家へ転身し、勘や雰囲気で語られがちな“農テクニック”を手順化し、収支をシミュレーションして勝ち筋を作る。狙いは大規模化ではなく、規模は小さくても効率を上げ、時間・予算・計画の余裕を確保して「悠々自適」を実現すること。象徴的なのが、夫婦2人で年間3000時間労働、週休4日を目標に掲げる点。働き方のゴールを先に置くから、作目選びや設備投資の判断軸がブレにくい。作業量の見積もり、単価と回転率、繁忙期のピークカットなど、就農前に詰めておくべき問いが次々に出てくるので、背中を押すだけの成功談で終わらない。読み終えたら、まず自分の生活費と必要利益を出し、①どの作業を減らすか②どこに投資すると回収が早いか③販路をどう組むか、を1枚に整理したくなる。未経験で始める人ほど、夢と現実の間を埋める「設計図」として効く一冊。
