みだれ髪(角川文庫)
- 著者:与謝野晶子 訳注:今野寿美
- 出版社:KADOKAWA
- 出版日:2017/06/17
- ISBN:9784044002855
書評
恋する体温が、そのまま短歌になった一冊。与謝野晶子の処女歌集『みだれ髪』399首を、現代語訳とともに味わえる。言葉は古いのに感情は生々しく、憧れ・嫉妬・ときめきが今の恋愛にも刺さる。解説と「拾遺」収録で、読むほど深まる。
【概要】
『みだれ髪』は、恋する女性の美しさと激情を、短歌という小さな器に燃やし尽くした与謝野晶子の第一歌集。近代短歌の金字塔として、多くの詩人・歌人に影響を与えた作品群がまとまっている。
【新版のポイント】
この角川文庫版は、399首を現代語訳つきで追えるのが大きい。読んで「雰囲気は分かるけど意味が遠い」で止まらず、情景と感情の動きがはっきり見える。さらに各章解説、年譜、初期作品を集めた「みだれ髪拾遺」も収録され、晶子の“恋の熱”がどこから来たのかが立体的になる。
【刺さる理由】
本書の凄さは、恋の美化ではなく、心が揺れる瞬間を逃さず掬う観察眼にある。憧れが高まるほど現実が色褪せ、相手の一言で世界が変わる――その乱高下が、今読んでも古びない。短歌は短いのに、読後に“自分の感情の輪郭”まで浮き出てくる。
【おすすめの読み方】
まずは現代語訳でテンポよく通読し、刺さった歌だけ付箋→章解説で背景を補う、がいちばん効く。恋の言葉を集める本としても、感情表現の教科書としても使える。
