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群衆心理

  • 著者:ギュスターヴ・ル・ボン/桜井成夫 訳
  • 出版社:講談社学術文庫
  • 出版日:1993
  • ISBN:9784061590922

書評

世論・SNS・ポピュリズムの「熱狂の正体」を掴みたい人は買い。人が集団になると理性が薄れ、暗示・伝染・単純化に動かされる──そのメカニズムを古典として鋭く整理。現代のニュースが読みやすくなる。

『群衆心理』の強みは、群衆を「賢い多数決」ではなく、感情と暗示に反応する別人格として扱い、なぜ極端な言動や付和雷同が起きるのかを構造で説明する点にある。フランス革命などの史実も引きながら、群衆が求めるのは複雑な議論より“わかりやすい断言”であり、反復や象徴、物語が人々の判断を一気に塗り替えることを示す。

弱点は、19世紀末の議論なので断定が強く、現代の実証研究のニュアンスとはズレる箇所があること。ただ、それでも「群衆はこう動きやすい」という型を持つだけで、SNS炎上、煽動、流行の波に巻き込まれにくくなる。忙しい人ほど、必要な章だけ拾い読みして“判断の免疫”を作れる一冊。