アマテラスの暗号(下)

- 著者:伊勢谷 武
- 出版社:宝島社
- 出版日:2024/02/28
- ISBN:9784299049872
書評
歴史ミステリーの下巻。主人公が父の遺した手掛かりを追い、最高神アマテラスと大嘗祭を鍵に、神道・天皇家の正統性・日本人の起源へ踏み込む。小説パートと写真・図版の資料が交互に来て、史実と仮説の境界を“考察”として楽しめる。読後は伊勢や出雲の見え方が変わる。
【どんな本?】
『アマテラスの暗号』文庫版の下巻。主人公が父の死の真相と“日本のタブー”に近づくほど、物語は神道・天皇家の正統性・日本人の起源へと射程を広げていく。小説の筋立てに、写真や図版、史料や神社・遺跡の紹介が厚く差し込まれ、読む感覚は「物語」よりも「調査報告+推理」に近い。
【刺さるポイント】
最大の魅力は、読者を受け身にしないところ。提示される情報が多く、頭の中で“点”が繋がっていく快感がある一方で、「本当にそう言える?」と自分で検証したくもなる。史実と仮説のグラデーションを楽しめる人ほどハマるタイプだ。神社巡りが趣味の人なら、伊勢や出雲、宮中祭祀への解像度が上がり、旅の目的が一段深くなるはず。
【読みどころ】
下巻は伏線回収と結論提示が中心で、前巻で積み上げた違和感が一気に収束する。答え合わせとして読むより、“現代の常識”がどこで作られ、何が見落とされやすいのかを知る思考実験として読むと、後味が良い。
