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「逆張り」の研究

「逆張り」の研究

  • 著者:綿野恵太
  • 出版社:筑摩書房
  • 出版日:2023/06/26
  • ISBN:9784480823830

書評

震災後の空気のなかで嫌われ/持ち上げられた「逆張り」を、SNS論争・批評・政治トライブの実例から解剖。投資用語の先にある“注意経済”と分断の構造を読み解き、逆張りおじさん/アンチのアンチの心理まで腑に落とす。自分の意見が「逆」になる瞬間の理由がわかる。

【どんな本?】
新聞記者に「逆張り」認定された批評家が、投資用語としての逆張りを起点に、2010年代のSNS空間で起きた分断と“空気”を追跡する評論。運動・現場・当事者が称揚され、「おじさん」より「女性/若者」が持ち上げられる一方で、「逆」が嫌われたり、反動的に好まれたりした時代を、注意経済、相対主義と絶対主義、アンチとアンチのアンチの連鎖などの観点で整理していく。

【刺さるポイント】
逆張りを「ひねくれ者」扱いで終わらせず、社会の情報循環と承認の設計として捉えるのが本書の強み。ブーメラン、エビデンス主義、動機の詮索といったネットの定番技を“論法”として可視化し、なぜ議論が同じ場所をぐるぐる回るのかが見えてくる。さらに批評の世界で起こる“逆張り”も俎上に載せ、ただの炎上観察で終わらない。

【読後の使い道】
自分が逆張りに見える場面で、何に反応し、何を守ろうとしているのかを点検できる。SNSに疲れた人のデトックスにも、議論の技法を学ぶメタ読書にも向く一冊。