古事記のものがたり 副題:稗田の阿礼が語るゆかいな「日本の神話」

- 著者:小林晴明/宮崎みどり
- 出版社:サン・グリーン出版
- 出版日:1999
- ISBN:9784921153007
書評
日本神話(古事記)を「物語」として気持ちよく読ませる入門。神々がまじめで、ずるくて、時に間抜けで、でも決める時は決める――その人間味がするっと入ってくる。神社参拝や神様図鑑づくりの“土台”を短時間で固めたい人向き。
古事記は、日本人なら一度は触れておきたいのに、いざ読むと固有名詞の洪水で挫折しがち。本書はそこを「物語の読みやすさ」に寄せて、神話を“つながり”で理解できる形に整えてくれる入門書だ。
魅力は、神々が教科書の人物像ではなく、かなり生々しい存在として立ち上がること。嫉妬したり、拗ねたり、だましたり、やり返されたり。そうした感情の動きが見えると、天つ神/国つ神の系譜や「なぜこの神が祀られるのか」が、知識ではなく納得として残りやすい。
そして読み終えたあと、神社参拝の解像度が上がる。社名や祭神名を見たときに「この神は、どの場面の神だっけ?」とストーリーで引けるようになるからだ。古事記を“暗記科目”から“日本文化の基礎教養”へ戻す、軽やかな橋渡しの一冊。
