敗者のゲーム
- 著者:チャールズ・D・エリス(著)
- 出版社:日本経済新聞社
- 出版日:2003-12
- ISBN:9784532350680
書評
市場に勝とうとするほど、手数料・売買のミスで負ける——投資を「敗者のゲーム」と捉え、勝ち筋は低コスト分散と長期保有だと説く古典。機関投資家の失敗例も多く、個人でも感情売買を止める指針になる。読後、投資の目標が「当てる」から「続ける」へ変わる。
本書が突き刺すのは「市場に勝つ」幻想だ。プロでさえ、売買コストや税、情報の遅れ、そして自分の感情に足を取られて平均に負ける。だから投資は“勝者の妙技”ではなく“敗者のミスで決まるゲーム”だと著者は言う。機関投資家が陥りがちな、流行テーマへの乗り換え、短期のランキング競争、過去実績だけでの委託先選び――これらは個人の「SNSで見た銘柄を追う」「下落で狼狽売り」と同型だ。勝ち筋は意外に地味で、①低コストで広く分散、②自分の目的に沿った資産配分を先に決める、③定期的にリバランス、④時間を味方にして持ち続ける。さらに「手数料を年単位で見える化する」「売買前に理由を一行書く」だけでも衝動は減る。投資は退屈なくらいがちょうどいい、という感覚が身につく。相場が荒れたときほど、当てに行く衝動を抑え、ルールで淡々と続ける力が問われる。読後は「予想の精度」より「ミスを減らす仕組み」を作りたくなる。投資の基本に立ち返る、静かながら強い一冊。
