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ユング心理学入門

  • 著者:河合隼雄
  • 出版社:培風館
  • 出版日:1967
  • ISBN:9784563055110

書評

ユング心理学(分析心理学)を、日本語で筋道立てて学べる古典的入門。無意識、コンプレックス、元型、夢の理解、個性化などの核を、臨床の手触りとともに解説する。派手な自己啓発ではなく「こころを読む枠組み」を得たい人向け。心理職・対人支援の土台に最適。

「ユング心理学を学びたい」と思ったとき、最初の一冊として今も名前が挙がる理由がある。著者・河合隼雄は、ユングの理論を単なる概念の羅列にせず、臨床の現場で何が見えてくるのかという“使いどころ”まで含めて説明していく。無意識、コンプレックス、夢、象徴、元型、そして個性化(自分が自分になっていく過程)——核となるテーマが、つながりを保ったまま入ってくるので、断片知識になりにくい。
一方で、読みやすいエッセイ調の本とは違い、腰を据えて理解するタイプの入門書だ。だからこそ、読後に残るのは「ユングっぽい言葉」を覚えた満足感ではなく、人の語りや沈黙をどう受け止めるかという姿勢の変化である。おすすめの読み方は、気になった概念を1つだけ選び、身近な経験(夢・怒り・繰り返す失敗・対人関係のパターン)に当てはめてメモすること。理論が“自分の現実”に触れた瞬間、この本は一段深くなる。心理学を専門にしない人にも、対人支援や自己理解の骨格をくれる一冊。