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人間と象徴 上 ― 無意識の世界

  • 著者:C・G・ユング〔ほか〕(著)/河合隼雄(監訳)
  • 出版社:河出書房新社
  • 出版日:1975
  • ISBN:9784309240459

書評

夢に出るイメージは何を語るのか。ユング心理学を、神話・宗教・芸術の象徴からやさしく導く。無意識を“怖い闇”ではなく人生を整える情報源として読む視点が得られる。図版と具体例が多く、夢日記・自己理解・対人支援にも効く入門書。難解語を避けつつ核心は外さない。

『人間と象徴 上―無意識の世界』は、夢や象徴の研究を手がかりに、ユング心理学が見ようとした「無意識」を一般読者に開く一冊だ。
出来事を理屈だけで処理すると、心はしばしば置き去りになる。そこで夢、神話、宗教、芸術に現れるイメージを“象徴”として読み、意識では掴みにくい感情や葛藤の動きを捉え直す。象徴は占いではなく、人生を調整するための言語——そう理解できると、夢が怖さよりもヒントとして立ち上がってくる。入門向けに具体例が多く、用語を暗記するより「連想して確かめる」読み方が身につくのも良い。監訳は河合隼雄で、当時の日本にユングの視点を根づかせた文脈も感じられる。
上巻は“無意識の世界”への入口として、象徴に慣れることを重視しており、下巻へ進む前の土台作りに向く。全国学校図書館協議会の選定図書にもなったという安心感もある。

時代の新しさより、長く効く「見立ての力」を求める人におすすめ。