蔵書検索

← 一覧に戻る

思考の整理学

  • 著者:外山 滋比古
  • 出版社:筑摩書房
  • 出版日:Apr 21, 1986
  • ISBN:9784480020475

書評

アイデアが出ない、考えが散らかる——そんな時の“頭の片づけ本”。忘却を味方にし、発想は「寝かせて」熟成させ、メモは外部脳に預ける。朝の時間の使い方や、議論のコツまで、思考を軽やかに離陸させる実践が詰まる。学生も社会人も、読み返すたびに効く定番。

『思考の整理学』は、勉強法でも仕事術でもあるが、核は「頭の中の交通整理」をどう設計するかにある。外山滋比古は、忘却を敵にせず“熟成装置”として使えと言う。思いつきをすぐ形にしようと焦るより、いったん寝かせ、別の刺激と混ざる時間を与えると発想は跳ぶ。そのためにメモを外部脳として活用し、書き留めた断片をあとで拾い直す。さらに、朝の冴えた時間を“離陸”に充て、夜は入力より回復へ。読書も「乱読」で視野を広げ、議論は相手を打ち負かすより、自分の考えを精密にする場として捉える。どれも派手なノウハウではないのに、実行すると頭の重さがふっと軽くなる。東大・京大の学生に長く読まれてきたという評判にも納得で、読むほどに自分の癖が見えてくる。  刊行から年月が経っても、情報過多の今ほど効くのは、テクニックより“思考のリズム”を整える本だからだ。読み終えたら、まず一週間、メモ→放置→再読の循環を作ってみたい。手元に置く価値がある。