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ユダヤ五〇〇〇年の知恵――聖典タルムード発想の秘密

  • 著者:M.ラビ・トケイヤー(著)/加瀬英明(訳)
  • 出版社:講談社
  • 出版日:1993
  • ISBN:9784062560085

書評

ユダヤ人が困難を生き抜く拠り所『タルムード』から、考える力・決断力・発想転換を学ぶ一冊。争いの収め方、損得の見方、人との距離感などを短いエピソードで示し、日常の判断を“強く賢く”する。仕事や人間関係で迷う時の携帯版知恵袋。古典なのに実用的で、読み返すほど効く。

『タルムード』は「偉大な研究」とも訳され、長い受難の歴史の中でユダヤ人の思考と倫理を支えてきた知恵の集積だ。本書はその膨大な言葉を、日常で使える“判断の型”として抜き出し、短い話や箴言でテンポよく届けてくれる。損得勘定だけでなく、相手の立場をずらして見る、争いを長引かせない、少数意見を残す、学びを共同体で回す――そんな発想の回路が随所に現れる。
難解な宗教書の解説というより、迷った瞬間に立ち返るための思考の道具箱だ。仕事の交渉、人間関係のこじれ、意思決定の先延ばしに効く“問い”が多く、読んでいるうちに自分の固定観念がほどけていく感覚がある。とくに「正しさ」より「解決」を優先する発想は、現代のSNS的な対立にも処方箋になる。
古典ゆえ具体的な制度や最新データは出てこないが、だからこそ時代を超えて使える。読み切りでも良いが、気になる項目に付箋を貼り、1つだけ行動に移す——そんな読み方が一番効く。知恵を“自分の言葉”にすると定着する。