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星の王子さま

  • 著者:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
  • 出版社:集英社
  • 出版日:Aug 31, 2005
  • ISBN:9784087604948

書評

砂漠に不時着した飛行士の前に現れた不思議な少年。星々を巡る対話が、愛すること=手間をかけ責任を引き受けることだと教える。短く読めるのに余韻が深く、仕事や投資で心が乾く時ほど刺さる。読み返すたびに価値観が整い、優先順位が変わる。人生の再点検に。

『星の王子さま』は、砂漠に不時着した飛行士が、どこからともなく現れた金髪の少年と出会うところから始まる。少年は自分の星や、バラとのすれ違い、いくつもの星で見た“大人たち”の奇妙さを語り、飛行士はその言葉に導かれて自分の物の見方をほどいていく。物語は童話の形をしているのに、刺さるのはむしろ大人の側だ。効率、肩書き、数字、正しさ——それらが人生の中心に居座ると、何が見えなくなるのかを、静かな比喩で突きつける。キツネとのやり取りが示すのは、関係は「手間」と「時間」で育ち、だからこそ責任が生まれるという事実。池澤夏樹訳は語り口がすっと入ってきて、名言を飾りにせず“自分の生活の問い”として回収できるのが良い。おすすめは、読み終えた直後に、①いま大切にしたい人/こと②そこに使う時間③やめたい無駄、を3行でメモすること。読み返すたびに、心の焦点が合う。優先順位が静かに入れ替わる。短いのに、一生ものの一冊。