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サピエンス全史(上)―文明の構造と人類の幸福

  • 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 出版社:河出書房新社
  • 出版日:2016
  • ISBN:9784309226712

書評

人類史を「暗記」ではなく“ひとつの仮説”で一気に見渡したい人は買い。認知革命→農業革命→貨幣・宗教・帝国が生む巨大協力まで、文明の骨格を大胆に整理。細部より全体像の地図作りに強い。

本書(上)は、人類がなぜ他の動物を押しのけ、地球規模の文明を作れたのかを「物語の共有能力」という視点から再構成する歴史書。認知革命で“存在しないもの(神話・国家・会社・お金)”を信じて協力できるようになり、農業革命で人口と支配の仕組みが拡大し、帝国・宗教・貨幣が異なる集団を横断して結びつけていく――という流れで、文明の構造を一気に俯瞰させます。

強みは、細かい事件より「人類を動かすルール」に焦点を当てるため、ニュースやビジネスの見え方まで変わること。弱点は、あくまで“大きな仮説”なので、専門史の厳密さや反論もある点です。ただ、忙しい人がまず得るべきは全体地図。読み終えると、人間社会が「想像上の秩序」で回っていることが腹落ちし、世界の解像度が上がる一冊です。