もどき友成助太刀稼業(二)
- 著者:佐伯泰英
- 出版社:文藝春秋(文春文庫)
- 出版日:2024/08/06
- ISBN:9784167922559
書評
毛利家家宝の刀「友成」を売るため江戸の刀剣商へ。助八郎に振り回されつつ名を挙げた嘉一郎は、巨額の借財を抱える大名屋敷へ――案内役が消え、不穏な気配が迫る。剣と商いで世を学ぶ“爽やか成長譚”の第2巻。
【シリーズの魅力】
本作は、剣の修行と商いの交わりを通して、若い武士が“世の中の手触り”を覚えていく時代小説。血なまぐささ一辺倒ではなく、旅と仕事の積み重ねで人が育つ読み味が軸にある。
【二巻の導入】
毛利家の家宝の刀「友成」を、高名な刀剣商・備前屋へ持ち込むところから物語が動く。値付けをめぐる駆け引きがまず面白く、刀=財の象徴として、武士の矜持と生活の現実がぶつかる。
【事件の匂い】
助八郎の勝手に振り回されながらも「助太刀稼業」で名を挙げた嘉一郎は、やがて一万八千両もの借財を抱えるという譜代大名の江戸屋敷へ赴く。案内役の小姓の姿が消えた瞬間から、空気が一気にきな臭くなる――この“静かな不穏”の立ち上げが上手い。
【読後感】
単なる立ち回りではなく、金の匂い、身分の綻び、人の思惑が絡み合っていくので、事件の輪郭が見えるほどに主人公の成長も際立つ。シリーズ物の二巻として、世界観と人物の関係が一段深まる一冊。
